日本語学校の目的
私たちの学校は日本語を教えるのが目的ではありません。
子供達の将来の選択肢つまり” 道 ”を作る事を使命感を持って運営しています。
学校紹介
はじめまして、たくみ日本語学校代表の今井です。
私達の学校は2015年8月にスタートし、シェムリアップ 州の認可を受けた日本語教育機関になります。
とても小さな学校ですが、2018年12月現在で、12才から42才までの約70人のカンボジア人が日本語の勉強をしています。
学費は全て無料、月曜日から金曜日までの平日で午前8時から午後20時まで1教室1時間の2教室、日本人先生2名、カンボジア人先生3名で日本語学習を行なっています。
学校を始めた理由
2011年からカンボジアに入り、最初は物資支援を主に個人でボランティア活動を行なっていました。
”活動の中で本当にこの国を良くするためにはどうすれば良いか?”
そんな壁にぶち当たり、今のカンボジアにはハード面ではなくソフト面での支援が必要ではないかと気付き、その結果、日本語教育・習慣・マナー教育を行う日本語学校を立ち上げました。
数々の失敗と学び
海外生活をしながら学校を運営して行く事ってこんなに大変だと思いませんでした。覚悟を決めてカンボジアに来たつもりだったのに、つくづく自分の甘さに気付かされました。
お金、時間、信頼関係の構築など、未だに考える事は山積みですが、その中でも一番の悩みが、
”どうしたら子供達は毎日学校に来るのか?”
日本でも同じ様な事で悩んでいる先生もいるかもしれませんが、私はこの答えが分かるまでにカンボジアで活動を始めてから約7年かかりました。
先進国と途上国の違い
先程の答えはここにヒントがありました。
私が数年カンボジアで活動し、その後在住し、学校運営をしていても分かっていなかった事です。
日本の子供に、
”なんの為に勉強してるの?”
と質問したら恐らく、良い高校や大学に入りたいから・・、とか、お父さんやお母さんが勉強しなさいって言うから・・、とか、そんな答えだと思います。時には分からないって答えもありそうですね。
私は大人になってから英語の勉強をしようと思った事が二度あります。むろん続きませんでした。なにせ動機が、英語が話せたらカッコいいよな・・、もしかしたら仕事にも使えるかもな・・。そんなくだらない全く具体性の無い目的だから続くわけが無いですよね。これは途上国人に比べ、不自由無く育った先進国人の驕りだと今は思っています。
一方、途上国カンボジアの子供達に同じ質問をしたらどうでしょうか?
恐らく、働く為、お金の為、そんな答えが多いはずです。
勉強が”現象”なら、生きる事が”本質”だと本能的に分かっているのだと思います。つまり彼らは、”生きる為に勉強をする”
逆に言うと生きるのに不要だと思えば勉強しないって事になります。日本語が生きる為に必要だと思えば勉強し、不要だと思えば勉強しない。とてもシンプルで分かり易い事ですが、とても大切な事だと思います。こんな簡単な事に数年気付けなかったのは、やはり私も先進国育ちの人間だったって事ですね。
出口のある日本語教育
”生きる為に勉強する”
つまり仕事、お金って事です。
子供達は頑張って日本語を勉強しても、仕事やお金に繋がらないと思えばすぐに辞めます。たまに日本が好きだから、日本人が好きだから、なんて、嬉しい事を言ってくれる子もいますが、家業の手伝いがあったり、雨季の大雨なんかの日は学校に来ません。
しかし、日本語を勉強すれば、確実に仕事やお金に繋がると分かればどうでしょうか?
カンボジアの小学校への就学率は90%以上ありますが、卒業率は70%を切ります。中学校、高校になるにつれて更にパーセンテージは下がり、大学への就学率は10%もありません。
”この原因はなぜか分かりますか?”
例えば、カンボジア人は子供の意見より大人の意見が絶対です。別の言い方をすると家族の絆が強く、年功序列で上下関係が厳しく、産んでくれた親に対しての感謝や尊敬を忘れない。親は強く、家業や家族の手伝いをするのは当たり前のことである。
小学4年生にもなれば、男は力作業、女は兄弟姉妹の面倒や家事のお手伝いをしなくてはいけません。私が過去に訪れた村では、9歳の女の子が朝4時に起きて、井戸水を何度も汲んで運んでました。汲み終わってからは赤ちゃんの面倒を見て、自営のお母さんを助けていました。他人を雇えるだけの収入があるカンボジア人はほんのひと握りなので、子供は重要な労働なり、学校にも行かなくなります。
”だけど親はどう思っているのだろうか?”
”子供に勉強は不要だと思っているのだろうか?”私は2018年にシェムリアップ州のある貧困地区で、教育に関するアンケートを1000世帯を対象に実施した事があります。その中で、
”チャンスや未来がある学校なら、あなたは子供を学校に行かせますか?”
の質問に対して、”必ず行かせる。こんな勉強ができる学校が欲しい!”
と1000世帯中1000世帯の大人が、YESの回答とコメントをくれました。つまり親は子供の教育に対して否定的では無く、むしろ子供には頑張って勉強をしてもらいたいと言う結果でした。貧困で日々の暮らしが精一杯の状況下で、背に腹は変えれず、仕方なく子供達を労働力としているが、それは先々に明るい未来が見えないだけで、もし、チャンスや未来がある学校、つまり仕事やお金に繋がる学校があれば、親は子供を学校に行かせたいと思っている。逆に言うとチャンスや未来がある学校が少ないって事が言えます。先ほどの低卒業率や低進学率の原因は恐らくこの辺りにあると思われます。。
”私たちの学校は日本語を教えるのが目的ではありません。子供達の将来の選択肢つまり道を作る事を使命感を持って運営しています。”
途上国カンボジアの子供たちに必要な教育、またその家族にとって必要な教育とは、
”仕事やお金に繋がる教育”
つまり、出口のある教育が必須であり、
”子供達を毎日学校に通わせること”
の答えがこれになり、私がカンボジアで日本語学校を運営する最大の目的になっています。
今後の展開
様々な問題を乗り越えて、今の学校は学費無料で運営できる様になりました。
ちゃんと社会に出れる様に、学習態度や挨拶は厳しく指導していますが、JLPT日本語能力試験等を受験・合格する、そんな身近な目的を持たせる事で勉強意欲を高め、そして優秀な子供達には、留学やインターシップ、技能実習制度や特定技能、在日系優良企業への就職など、将来の選択肢や道をどんどん増やしたいと思っています。
”私達は日本語学校ですが語学学校ではない。”
彼らにとって日本語教育そのものに意味は無く、日本語教育のその先に彼らの求める目的がある事を私はこの数年でカンボジアから学びました。
これからも彼らが求める事を受け止め、導けるような日本人、日本語学校でありたいと思います。
”必要とされる場所で、必要な事をできる人でありたい。
常識人でありながら、非常識な事ができる人でありたい。
子供達の幸せは、私の幸せと最大の生きがいである。”“The best things in life are free.”
“人生で最高のものはお金では手に入らない。”
その他の活動報告
(2016-2018)2016-2017年にカンボジア・シェムリアップ州・オンロンピー村小学校を拠点にDonationを実施し、約20,000枚の衣料物資を村の住民へ配布しました。
この小学校の近くにはゴミ山があり、シェムリアップ州から大量のゴミが毎日集まってきます。悪臭が漂い、土には有害物質を含んだ汚水が流れています。
2018年にカンボジア・シェムリアップ教育局を拠点に、学校や孤児院、貧困地区12ヶ所の村にDonationを実施し、約40,000枚の衣料物資を配布しました。
この取り組みは2019年以降も貧困地区を中心に継続的に行っていきます。
2018年8月に京都産業大学生グループ主催で国際NGO”SOS Children’s Village Angkor-Siem Reap”の子供達とサッカースクールを開催しました。
子供達は全て孤児ですが、NGOが支援する施設で安心して暮らしています。
2016-2018まで本田圭佑選手がプロデュースする”SOLTILO FAMILIA SOCCER SCHOOL”の現地アテンドとして、カンボジア・シェムリアップにてサッカースクール、サッカー用品無料配布など、開催場所選定から準備、通訳のお手伝いさせて頂きました。
2019年以降もサッカースクールを開催する際はお手伝いさせて頂く予定です。
2018年9月より首都プノンペンにある短期大学への推薦入学を行っております。奨学金制度を使っての入学になる為、入学金や2年間の授業料は全て無料です。私達の学校で面談し、勉強意欲がある学生を選抜します。
現在は5名の学生がプノンペンの短期大学で勉強を頑張っています。
カンボジアの大学と連携し、日本にある企業に6ヶ月から1年間のインターシップ制度を斡旋していきます。すでに受け入れ企業は数百社以上あり、大学側とはインターンシップによる単位取得に対しての話し合いも終わってますので、2019年度からは活発的に動いていきます。
カンボジアの貧困地区を対象に教育を中心とした町興しプロジェクトを構築中です。教育と産業をセットにしたこのプロジェクトはシェムリアップ教育長、貧困地域の市長、副市長、教育長、教育副長、5区それぞれの区長と連携し、来年4月より本格的に始動します。
地域貢献や支援活動が心を育てる教育へ
日本語学校運営の一環として様々な活動を行っています。
”Donation:寄付活動”や”Scholarship:奨学金制度”
などを積極的に行い、日本語学習者にも参加させる事によって、
”道徳教育”や”心を育てる教育”へと繋いでいます。
国際NGO I-MAI
カンボジアの教育をサポートする為に、2019年1月に一般社団法人I-MAIを設立予定と共に、 国際NGO I-MAI (instructors of medium of attainments, international : 学識を持って導く国際協力組織)を設立準備中です。
取得ライセンス
日本語教育許可ライセンス(シェムリアップ州)
ビジネスライセンス
パテント(税金関連)